宮崎大学 工学部 電気電子工学科 電気エネルギー工学講座 レーザー工学研究室

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Last updated 2017-05-24

ナトリウムの真空紫外分光特性に関する研究

ナトリウムの真空紫外域における分光測定

 近年ナトリウムが真空紫外域で透過性を持つという研究成果が得られています.金属のナトリウムは可視域では不透明ですが,紫外域でも短い波長域である真空紫外域で透過特性を持つということは,例えば液体ナトリウムの流れを真空紫外線で「可視化」することができるということになります.私たちはこの先駆的な研究成果に触発され,ナトリウムの真空紫外分光を行っています.ナトリウムは化学的に反応性の高い金属ですので媒質の準備方法にも工夫が必要です.ここではレーザーアブレーションにより自由空間中にナトリウム原子を発生させる方法と,パルスレーザー堆積法により発生した原子を基板に堆積させ固体薄膜として扱う2つの異なる方法を行いました.この際,真空紫外分光光源は私たちが開発したレーザー生成アルゴンプラズマ光源を用いています.レーザー生成アルゴンプラズマは,下図に示すように広帯域な発光スペクトルを有しているため分光測定に適した光源と言えます.

Arplasma.bmp


ナトリウム薄膜を用いた吸収分光測定

 下の左図はナトリウム薄膜の吸収分光測定の実験装置図です.1台のQスイッチNd:YAGレーザーを用いてMgF2基板上にパルスレーザー堆積法でナトリウム薄膜を作成します.もう一台のQスイッチNd:YAGレーザーをアルゴンガス中に集光照射しセルフブレイクダウンプラズマを生成し,そのプラズマからの発光を用いて吸収分光測定を行います.測定された真空紫外域での透過率を右図に示しています.細部のストラクチャは真空容器内の不純物による吸収に起因しています.このデータからこの波長域でのナトリウム薄膜の波長依存吸収係数を求めることができます.この波長域でのナトリウムの光学特性は測定結果がほとんどなく比較検討する対象がないことから慎重な測定を行う必要があります.

Nathinfilm.bmpNathinfilmT.bmp


ナトリウム蒸気を用いた吸収分光測定

 レーザーアブレーションでナトリウム蒸気を発生させる場合では媒質を時間的・空間的に制御して発生させることが可能です.下の左図はナトリウム蒸気の吸収分光測定の実験装置図です.1台のQスイッチNd:YAGレーザーをナトリウム上に集光照射し,ナトリウムを蒸気化します.このときナトリウムの蒸気は時間と共に膨張するため,密度と測定軸上の厚さが過渡的に変化します.もう一台のQスイッチNd:YAGレーザーをアルゴンガス中に集光照射しセルフブレイクダウンプラズマを生成し,そのプラズマからの発光を用いて吸収分光測定を行います.2台のQスイッチNd:YAGレーザーは,同期動作させており任意の遅延時間を与えることによって,吸収の時間分解測定が可能となります.右図にはナトリウム蒸気のD線の吸収の時間分解測定結果を示しています.またナトリウムの膨張をモデル化した結果を実線で示しています.実験値との一致から膨張のモデルの妥当性も検証されました.

Navapor.bmpNavaporDline.bmp





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